東京文京区・W邸

1.敷地

更地状態の敷地の様子。
元々の土地を縦に二つに分割した土地(左には既に住宅が建っている)なので間口に対して奥行きが大きいその比率はおよそ1:4。
採光や通風をいかにうまく確保するかが重要なポイントになる。隣家のように隣地に向けて大きな窓をとっても機能しない。
小さい中庭(光井戸)をつくり、光井戸に向かって全ての空間が一体化する計画を提案した。

2.外観模型

数回にわたる提案・修正を経てほぼまとまった模型による計画案。コンパクトに無駄なくまとまったプランだけれど全体に開放感ある都市住宅になった。


地上2階建て、在来木造工法住宅、約32坪。

3.上棟

上棟時の様子。
木造住宅ではあるけれども、アーチ型の屋根を形成する3本の鉄骨アーチ梁があり、手前に見えている。

ささやかでアットホームな上棟式がおこなわれた。

4.完成外観

完成時の外観。
手前に屋寝付きのポルシェの置き場があり、その左脇を花道のようなアプローチが玄関へと続いているという構成。

外壁は櫛引にした塗り壁なので筋状の横模様がある。玄関ドアには外観をモチーフにした設計者製作のアルミパネルが付けられている。

5.中庭

ロストから見た中庭の様子。この住宅は周囲には限定した窓しか持たないが、3畳弱の中庭に面しては1階では寝室・廊下・浴室の、二階では食堂・廊下・家事室の開口部が、目一杯取られている。上部はFIX、下部を通風用ジャロジーにした構成。

壁やサッシを白くしているので昼間の各部屋はとにかく明るい。ジャロジーを明けると煙突効果で吸い上げられるように風が抜ける。

6.広間から階段〜中庭

二階にある吹き抜けの広間から階段室を見る。その上部にロフトが、奥には中庭が見える(その奥が食堂)。二階はとにかく広間〜階段室〜中庭〜食堂が一体的な空間になるように設計をした。それが奥行きのある敷地を生かすことにもなる。

7.階段室の仕掛け

住宅の中心にある階段室。二階を開放的な一体空間にするために階段室の周囲に壁はない。床暖房があるので冬はさほど問題にならないが、冷房時には冷気が逃げてしまう。そこで階段室周囲に3つの隠し扉が格納されている。写真は階段室上部の二枚の大引戸。右端の壁から左に見えるのはスライド式に、斜めのは回転式に出てきて階段室を囲む。

8.アジアアロワナ

広間の主はアジアアロワナ。ゆったりと泳ぐピンク色の輝く姿は感動的。力も強く、引っ越しの時は大騒ぎだった。

水槽も水を入れると700kgくらいの重さなのでそれを置くカウンター家具の下部分には(水槽の下は空調)鉄骨による補強がしてあり、耐震設計になっている。

9.吹抜けとロフト

ロフトから見た広間上部の吹き抜け。ロフトはアーチ状の屋根形状を生かしてつくった。

中央に下がっているのがオリジナルのUFO型の和紙照明。

10.和紙照明

空間にあった照明器具が欲しいと思う。良いデザインのものをうまく集めれば良いのか?多くの部分を既製品で構成された現代の住宅でオリジナルな空間をどのようにつくったらよいのか?

ともあれ、手作りのオリジナル照明器具には何か空間を引き立てる力があるように思うのです。

11.食堂

広間と階段室〜中庭を介して向かい合う食堂。大きなテーブルと一体になった黄色いボックスはキッチン側が電子レンジなどの収納、手前に扉がある部分がテレビの収納になっている。

キッチンの吊り戸棚はフラップ式の扉。

12.階段室1階部分

1階はローコストな木質仕上げ。同じ巾のシナベニヤを丁寧に張っている。左の洗面室の扉も同じ仕上げで、手前のあるような収納扉は壁と同化するようにデザインしている。

13.浴室

1階の浴室も中庭に面している。左側が中庭に面した窓で反対側からは見えてしまう。ご夫婦二人の住宅なので普段は気にしないが、お客さんなどの時には外(中庭)に目隠しのブラインドを吊す工夫。

風呂のタイル絵も設計者自作。幾つかのデザインから選んでもらった。左下にこの住宅の外観を入れている。既製のタイルにシールタイプの上絵付けをしたもの。