住宅設計の現場では、阪神大震災以降、住宅ユーザーに耐震性に対する要望が顕著になってきたことが感じられる。当然のことである。それ以降、耐震工法に関して様々な取り組みや提案がなされてきているが、未だに一般の方には誤解が山積されている。「コンクリート住宅やツーバイフォーは地震に強い」といった類の理解がそれである。そういう方のために取りあえず基本知識から ・どの工法でも耐震性は基本的に同じ。なぜならどのくらいまでの地震に耐えるかという目標値が一緒だから。 ・コンクリート構造は確かに丈夫だけれど自重も重いので耐震力が大きいとは言えない(相殺される)。 ・コンクリート構造の方が揺れは小さい(硬い)。 ・最近はやりの免震構造は横揺れには有効だが縦揺れには効果がうすい。 ・どの工法でも施工管理(きちんと施工されていること)が重要。 ・在来木造が工法的に不利というのはメーカーのねつ造のようなもの(最初の項目と理由は一緒)。 ・在来木造では耐震壁のバランス、床面の剛性確保など設計の裁量に左右される(いい加減な設計だと危険)。 ・1981年以前の住宅は耐震診断を受けるべきである。 木造住宅の方が耐震性だけを向上させるには(耐震壁を増やしていきやすいから)有利ともいえる。一方で未だ工法的に未成熟な部分があるのは否めない。 が、いずれにせよ住宅は耐震性だけではない。プロトタイプを構想するときに恒に念頭にあるのは、耐震性(構造計画)と自由度(プランなど)の両立である。 この「エスカルゴハウス」はコンパクトな最小限住宅の構想である。コンパクトなのは空間だけでなく、生活やエネルギーについても。快適性ばかりを追い求めてきた住宅に対して、これからの重要なテーマである。 木造住宅の工法上の問題点、柱と梁による構成なので平行四辺形の潰れるのを筋交いで抑える、に対して円弧梁を地面にまで伸ばして安定させ全体の水平剛性も確保している。基本的に室内には耐震壁は無い。 |